- - - テクニック、その前に |
パントマイムのテクニックと言えば、「壁」を思い浮かべる人が多いと思います。この「壁」を演じるために一番大切なことはなんでしょうか?
手の角度? 手への力の入れ方? 手の平をどれだけ平らにできるか? どれだけ手を止めていられるか? ・・・みんな違います。 一番大切なことは壁を「イメージする」ことです。 ・・・と、こう書くと、「また精神論か、もうやめてくれよ」と思う人もいるのではないでしょうか。実際、僕もそういうタチですから。 それでもやはり、決め手はイメージなんですね、経験的に言って。 いくら正確無比に手を動かせたところで、それで見せているものは何というかただの技術なのです。 逆に技術的には稚拙であっても、しっかり壁のことを想って演じた場合に、技術以上の何かが見る人に伝わってきます。 その伝わってきた何かが手伝って、かえって豊かな壁が見えてくる、そういうケースを僕は何度も目にしています。 パントマイムは、やはり人に何かを感じてもらってなんぼのものです。 技術的にうまいものを見せるが何だか薄っぺらなマイムよりも、稚拙であっても豊かなイメージが伝わるマイムの方が、結局は勝ちなのです。 −− パントマイムは「記憶の芸術」と呼ばれることがあるそうです。 これは見ている人の記憶に働きかけることによって、はじめてそこにないものが浮かび上がってくることから来ているとのことです。 手を動かさないとかそういうことをいくら考えても、見ている人の記憶にはうったえかけてこないんですね、結局。 −− 「記憶の芸術」という言葉は、一方で演じる側にもあてはまります。 演じる側も、きっちり壁のことを思い出してイメージを作らないと、いい動きにならない。 そういうことです。 −− どんなときでもこのことは絶対に忘れないようにしてください。 パントマイムで一番大切なのは「イメージ」なのです。 −− ・・・と、ぶち上げておいて何ですが、やはりテクニックは大事です。 「いったいこれは何を意味してるのだろう?」と、見てくださるお客さんが考え込んでしまうような動きばかりしていては何にもなりませんから。 当たり前ですが、テクニックもイメージもともに充実してるのが一番です。 豊かなイメージに確実な技術が加われば、表現にぐんと説得力が増します。 というわけで、これ以降テクニックの実践に入っていきます。 |
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