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■ 和時計 (β)
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◆ 内 容 ◆

江戸時代に用いられていた計時法で、"とき"を表示します。

江戸時代の計時法については、下記に説明しています。


= 操作方法 =
起動すると、現在の"とき"を表示して、画面左下に常駐します。

[順送り↓]キーを押すと、画面が小→中→大→小の順に切り替わります。
[逆送り↑]キーを押すと、現在の"とき"関連情報を表示します。

ウィンドウはペンで移動できます。
何かの拍子で画面表示が消えた場合は、ペンタッチすると再描画されます。


◆ 効 能 ◆

・古典落語や時代小説の時間を味わいたい
・二十四時間制が身体にあわない
・そば屋で、「おい、いま何どきだい?」とトラディショナルかつ陳腐なことをのたまう輩に、「いまは五ツ半、戌四ツです」とクールに答え、冷や水を浴びせたい

・・・といったことを、お感じのあなたに。


◆ 画 像 ◆

和時計 キャプチャ画像
(最大サイズ)


◆ ダウンロード ◆

KALWADK0.lzh (LZH圧縮) - 1/7
KALWADK0.zip (ZIP圧縮) - 1/7

KALWADK0.BAS (ソースのみ) - 1/7

[お断り]
このプログラムを使用したことで、どのような損害または障害が発生したとしても、作者は一切その責任を負いません。ご使用は、あくまで自己責任で行ってください。


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[改版]
03.1.7
起動時に正しい"とき(数え)"が表示されない不具合を修正

02.12.24
初公開


◆ 江戸時代の計時法について ◆

§「数え」の"とき"

 −いま何どきかね?
 −へい、五ツを過ぎた頃かと。


現代の計時法は1日を24等分して、それぞれを1時間としていますが、江戸時代の頃は違っていました。世界的にも珍しいそうなのですが、江戸時代の計時法は太陽の位置を基準にし、季節によって時刻間の長さが異なっていました。

時間の単位は"とき"と呼ばれ、日の出から日の入りまでの間(昼)を六等分、日の入りから次の日の出までの間(夜)を六等分し、その間隔をそれぞれ「一とき」としていました。したがって、1日の中で、昼と夜で一ときの長さが異なります。また、夏の昼の一ときは長く、冬は短くなります。

季節や昼夜によって、時間単位の長さが変化するため、このような計時法を不定時法と言います。

さて、これだけでもずいぶん複雑なのですが、"とき"の数え方がまた独特でした。
現代と同じく数字を使うには使うのですが、夜明けが「六ツ」、それから2時間ほど経つと「五ツ」、次が「四ツ」と数字が下がっていきます。
では、「四ツ」の次は「三ツ」なのかというと、さにあらず。「九ツ」になるのです。この時刻がだいたい昼の12時頃(正しくは、太陽のおよその南中時刻になると思うのですが)にあたります。
それからはまた、数字が下がっていき、八ツ、七ツ、六ツ(日の入り)、五ツ、四ツ、九ツ(真夜中)、八ツ・・・と続いていきます。

ちなみに、このように数が減っていく数え方は、陰陽道での神聖な数である「九」の倍数から来ているとの説が有力です。つまり、-十-二-三・・・と、九の倍数の下一桁だけを取った呼び方である、とのこと。

一ときは、現代の時間で平均すると約2時間に相当します。これでは、さすがに大ざっぱすぎるのか、実際には、「四ツ半」のように「半とき」単位で時刻を表していたようです。
また、一ときの長さは日の長さに合わせて変化するわけですが、毎日刻一刻と変化するのではなく、二十四節気(大寒、啓蟄、夏至、秋分などの、いわゆる「暦」です)が来たところで、切り替えていたそうです。

なお、"とき"は漢字では、日へんに向と書く(向)のが本式です。まさに、日の向き=時刻だったわけですね。


§十二支の"とき"

 −草木も眠る丑三つ時・・・

さらに、"とき"の数え方には、もう一つの方法がありました。1日を12に分け、それぞれに十二支をあてた方式です。これは深夜(23時、または0時頃)から、子丑虎卯・・・と順に、干支をあてます。1単位が約2時間に相当します。そして、この2時間を一ツ、二ツ、三ツ、四ツと四等分して、たとえば「丑三ツ」などと称することが多かったようです(この場合は一ツの間隔が、現在の約30分に相当します)。
ただし、一ツ、二ツ・・ではなく、初刻・正刻の2つに分けたり、上刻・中刻・下刻と3つに分ける方式もあったそうです。

こちらの計時法はどうやら江戸時代以前からあったようで、上の「数え」の"とき"よりもオフィシャルな方式だったようです。・・・しかし、具体的にどのような方法で運用していたか、筆者の手に入る情報では、あまりはっきりとはわかりませんでした。

たとえば、この十二支の"とき"は不定時法ではなく、1日24時間を12等分した定時法だったと記されていることが多いのですが、Webを調べていると、不定時法の"とき"と同期するような形でも使われていたらしい、とも目にします。

「子(ね)」が深夜の23時から始まるか、0時から始まるかも諸説あるようです。さらに、上に述べたように、「一とき」の分け方にも複数の方式があります。

このような細かなルールの違いは、時代や地域によっても異なるのではないかと思われます。
なお、筆者が岡本綺堂の『半七捕物帳』を読んでいたとき、"とき"の呼び方に少し注意していたのですが、「数え」の"とき"は頻出するものの、十二支の"とき"は出てこなかったか、あったとしても記憶に残らない程度でした。・・・参考までに。

このプログラムでは十二支の"とき"を、「子(ね)」が23時から始まるという説に基づいて、定時法で算出しています。


◆ プログラムについて(注意点/問題点) ◆

太陽関連の計算は、まったく行っておりません。日の出、日の入り時刻などは外部ファイルに記録したものを読み込んでいます。

十二支の"とき"は定時法で算出しています。
また、「子」が23時から始まる、という説を採用しています。

数えの"とき"は、二十四節気当日の日の出、日の入り時刻を基に算出しています。

現在の付属データは、2003年江戸のデータです。
大阪用はこちら→KALWADK0.OSK
(右クリック等で保存時に、名前をKALWADK0.CSVとして保存してください)。
できれば、江戸以外の各所のデータも用意したいところ。いずれ、そのうち。

変化に乏しい画面なので、ビジュアルに無駄に凝っています。
十二支の絵柄は、北斎が描いたものです(著作権保護期間はもちろん失効しています)。

処理が重いです。現在のところ、プログラムが相当ぐちゃぐちゃしているので、その辺も原因かも。いずれ整理するつもり。

うーむ、変数をあれこれ使いすぎて大変。変数表は、いずれ余裕ができれば。


◆ 参考文献/Web ◆

『新修国語総覧』 京都書房
『パイプのけむり』 團伊玖磨
『北斎絵事典』 東京書籍

「こよみのページ」 http://koyomi.vis.ne.jp/
「江戸時代の天文学」 http://www.tsm.toyama.toyama.jp/curators/aroom/edo/index.htm
「各地の日の出・日の入り・南中の時刻(国立天文台)」http://www.nao.ac.jp/reki/hdni/hdni.html

あと、国会図書館のhttp://www.ndl.go.jp/jp/gallery/permanent/jousetsu120.htmlに挙げられた資料が参考になると思うのですが、筆者はこれらの資料を読む機会をまだ得ていません。まともな図書館や大きな本屋のない田舎に住んでいると、資料を探すのも一苦労で困ってしまいます。

でもまあ、いずれそのうち、諸々の気がかりを調べてすっきりしたいところ。プログラムも相当ぐちゃぐちゃしているので、これらが片づくまでβ版とさせていただきます。


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